『柊の家』読みました。
「弧をえがいて飛ぶ野鳥」を検索していたら、野鳥の検索結果のなかに、この小説があり、あれっと思って、ページを開き、一気によみました。ひとのこころの闇をえがくテーマと巧みな構成に、あっというまに読了しました。
良質のこころに残る小説だと思いました。
その上で、気になった点を列記しました。
1)文体の表現が硬すぎる。表現があまりにも表面的で、独りよがりなレトリックが多用されていて、気にかかって『読み』を阻害する。気負った表現は少ないほどよい。
2)音楽や絵画や文学の言及の件:作者のそれらへの興味や嗜好は多としますが、博学を誇示しているような箇所が多すぎるのは残念。興味が半減して、その場所を読み飛ばしてしまいます。ほどほどの表現か、それでなければ、必然性のともなった詳細な記述が必要である箇所の作り込みが必要。
3)テーマが非常に重い根源的なテーマであるだけに、通り一遍のドラマになりすぎていて、もっと根源的な思索の上での展開があってもよかったのではないかという印象がぬぐえない。
以上、勝手な読後感で申し訳ありません。
よいよい新作が出来ることをお祈りしております。